タイム涼介「セブンティウイザン」PR

「セブンティウイザン」|タイム涼介×ひうらさとる 対談 “親の年齢以外は普通”な家族のカタチを語る

65歳の夫・朝一と70歳の妻・夕子という老夫婦が超高齢出産をし、そして育児に挑む姿を描く「セブンティウイザン」。2人の夫婦愛や新たに加わった命との家族愛がネットやテレビで話題を呼び、連載されている新潮社のWebマンガサイト・くらげバンチには多くの反響の声が寄せられている。

コミックナタリーでは2巻発売を機に、「セブンティウイザン」の特集を展開。43歳での高齢出産体験を綴ったコミックエッセイ「ヒゲの妊婦(43)」を上梓しているひうらさとるを招き、「セブンティウイザン」の作者であるタイム涼介との対談をセッティングした。「私の出産年齢を30歳も越してくるなんて……」と、ひうらの驚きと笑いからトークはスタート。70歳という年齢設定の理由や、作者自身の経験が反映されているエピソードの裏側が明かされていった。

取材 / 坂本恵 文 / 西村萌 撮影 / 佐藤友昭

最初は60歳のはずだった

──おふたりは “高齢出産”つながりなんですよね。タイムさんの「セブンティウイザン」は70歳での超高齢出産に挑む老夫婦を描くフィクションですし、ひうらさんは実際に43歳での妊娠を経験されたということでエッセイマンガを描いています。

左からタイム涼介、ひうらさとる。

ひうらさとる いやあ、70歳の妊婦さんだなんて……なかなか私の出産年齢を越える人はいないと思ってたんですけど、タイムさんに大幅に更新されちゃいましたよ(笑)。

タイム涼介 フィクションとはいえ、やりすぎましたかね?(笑)

ひうら いやいや。設定こそ現実離れしてますけど、「わかるわかる!」って思ったエピソードはけっこうありましたよ。すっかり忘れちゃってましたけど、これを読んで子供が小さかったときのことを思い出しました。

タイム 「あるある」って思っていただけるのはありがたいです。

朝一と夕子が、我が子・みらいを沐浴させる様子。

ひうら 例えば生まれたての赤ちゃんが予想外に華奢だっていう描写とか。それが1、2カ月するとだんだんプクプクしていって、思い描いていた赤ちゃんになっていくんですよね。

タイム そう、最初は鳥の雛みたいに細いんですよ。

ひうら 「思ってたのと違う!」って思った記憶がある。そもそも、どうして70歳で初産というお話を描こうと思われたんですか?

タイム 一番のきっかけは自分に子供が生まれたことです。それと70代の両親の存在もあるかもしれない。ちょうど兄一家が実家近くに住んでるんですけど、両親が子供を預かっているのを見たときに「高齢者の育児もあるんだな……」ってふと思って。

ひうら へえ、そういう経緯で生まれたお話だったんですね。

タイム 実はアイデアが浮かんだ当初、夕子の年齢は70歳じゃなく60歳だったんですよ。

ひうら どうして変えられたんですか?

夕子が朝一に妊娠を報告する場面。70歳での妊娠に、朝一は動揺を隠しきれない。

タイム 60歳で自然妊娠の初産って実在するかもなあと思いまして。もしあり得りえちゃったら、読者が自分のことを投影しにくくなるじゃないですか。エッセイはある誰かの体験談ですけど、物語だったらその“誰か”を特定しないほうが感情移入できるんじゃないかなと。

ひうら 確かにこの作品って、70歳っていう年齢設定はすごい特殊ですけど、夫婦の間に起きる出来事自体は普遍的ですよね。

タイム エッセイにしてリアルに描こうと考えたこともあったんですけどね。でも当時は生まれたばかりの時期で、まだ冷静に描けないかもしれないと思ってやめたんです。しかも初めての子育てで、この先どうなるか予想もつかなかったので。

ひうら 最終回が見えていないのに描き出す、みたいなことですよね。

タイム そうですそうです(笑)。

公園でひっそり飲むのは経験談

タイム ちなみに僕も朝一と一緒でカメラが趣味なんですけど、彼が赤ちゃんの写真をカメラで撮りまくるというエピソードは自分の経験からなんですよ。「写真じゃなくて記憶に残しておきなさい」ってよく言われるんですけどね。赤ちゃんって日々育っていくし、子育ても忙しいから全部覚えてられなくて……。

ひうらさとる

ひうら ああ、私もわかります。子供が大きくなったとき、当時の写真を見せてあげたいなって思うんですよね。そういえば朝一さんが妻の妊娠中にお酒を隠れて飲むシーンがありましたけど、あれもタイムさんの経験談ですか?(笑)

タイム ……はい、やっぱり妻が妊娠してる間は飲みづらいんですよ。なんか監視されてるような気がして(笑)。

ひうら ははは(笑)。私もお酒好きなので、妊娠中はありとあらゆるノンアルコールビールを飲みまくったなあ。

タイム 僕は普通の人より飲むので、健康的な面で危機感もあったんです。妻にも「過剰に飲むのは控える」と宣言しちゃっていたので、どうしても飲みたくなったときは公園でこっそり飲んだりしてました。今は同じ保育園のママさんたちに見られたらどうしようっていう別の問題が出てきて、もう公園では飲めません(笑)。

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登場するのは65歳の夫・江月朝一と、70歳の妻・夕子の老夫婦。定年退職を迎えたその日、家に帰った朝一は「私、妊娠しました」と妻から衝撃の事実を告げられる。終活に差し掛かっていた夫婦が、突如授かった大きすぎる未来。ここからまったく新しい、家族の愛の物語が始まる。

タイム涼介「セブンティウイザン①」
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会社ではソツのないOLだが家ではぐうたらに生活する、“干物女”こと雨宮蛍を描いた恋愛コメディ「ホタルノヒカリ」。その続編にあたる「ホタルノヒカリSP」では、蛍と部長の結婚後のエピソードが展開される。蛍は男性アイドルグループ・B-LEYに激ハマりしている模様!? アイドルオタならわかるあるあるネタ満載で、蛍の同僚でありオタク仲間・晴香光の恋愛模様が中心に描かれていく。

ひうらさとる「ヒゲの妊婦(43)」
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生活の大半は仕事…という“ヒゲ度の高い”人生を歩んできたひうらさとるが43歳にして突然の妊娠発覚。“超”高齢出産を働きながらどう乗り越えてきたのかが、エッセイマンガとしてざっくばらんに描かれる。

タイム涼介(タイムリョウスケ)
タイム涼介
1976年神奈川県横浜市生まれ。1995年に投稿作「タオル」「前のそれは万引きとは言えない!!」がヤングマガジン(講談社)主催の月間新人漫画賞を受賞、同誌に掲載されデビューとなる。同年、「フランス」を短期連載。1997年からは「日直番長」を連載し読者の注目を浴びる。以降ナンセンスなショートギャグを中心に講談社以外でも活動を始め、2001年に月刊コミックビーム(エンターブレイン)にて「あしたの弱音」を連載開始。また同誌では2007年から2010年にかけて、架空の格闘技をテーマにした「アベックパンチ」を、2011年から2013年にかけて除霊商売をする3人組を描く「I.C.U」を発表。現在は新潮社のWebマンガサイト・くらげバンチにて「セブンティウイザン」を連載している。
ひうらさとる
ひうらさとる
1966年大阪府生まれ。1984年、なかよしデラックス(講談社)に掲載された「あなたと朝まで」でデビューする。代表作は会社ではソツのないOLだが家ではぐうたらに生活する、“干物女”こと雨宮蛍を描いた恋愛コメディ「ホタルノヒカリ」。2004年から2009年までにKiss(講談社)にて発表され、綾瀬はるか主演でドラマ化や映画化も果たした。2014年からは同誌にて、その続編にあたる「ホタルノヒカリSP」を連載中。